たゆたえども沈まず(Fluctuat nec mergitur)これはパリ市の紋章に書かれている標語です。セーヌ河が流れるパリはかつて水運の中心地で、船は水上商人、いわゆる船乗りたちのシンボルでした。「たゆたえども沈まず」とは「どんなに風が吹こうと揺れるだけで決して沈没はしない」ということを表しています。16世紀以来用いられているこの言葉は、パリ市民が第2次世界大戦や、2015年秋の同時多発テロの混迷の中、この言葉を口にし、団結したといわれています。ゴッホ、ゴーギャンとともに時代を生きた林忠正を書いた原田マハさんのアートフィクションの表題として使われたり、2021年3月には、テレビ岩手製作・配給、東日本大震災10年記録映画の表題としても使われています。映画ではどんな災害に逢おうとも、その場で生き抜いていく強い意志表示が感じられます。新型コロナ流行が長期化し、ここそこで諦め気分になっています。これから迎える未来を、Fluctuat nec mergiturと口ずさみ、こころをひとつにし、明日を信じて日々頑張れればと感じています。